都心郊外型マンションの再生
都心郊外の共同住宅が抱える問題を解決し、周辺地域の規範となるべく、既存建物を再生させたプロジェクトである。
本計画は、日影規制が既存不適格である築45年の建物において、屋上の階段室塔屋を解体し、現行法に適合させることで、増築を伴う建物再生を行った。敷地南側の道路沿いにあった既存エントランスを建物の北側に移動させ、敷地南側の通過動線をなくし、建物前面に余白空間をつくり出した。その空間を各住戸の専有庭とすることで、近隣住民との関わり合いのきっかけづくりの場として活用できるようにした。また、3階屋上の未利用スペースを専有庭化したり、既存建物の南側バルコニーの一部を屋内化し、リモートワークスペースとして活用できる空間とすることで、個の集合体で構成される現代家族という小社会の心理的距離間を調整する場となるように計画した。
このように、建物内外に余白空間をつくり出し、時代の変化に柔軟に対応できるようにすることで、建物が長く使用され続け、建物の長寿命化につながると考えている。
(青木茂建築工房担当物件)
2021年度グッドデザイン賞受賞