今野広大再生建築設計

早稲田KMビル

都心型マンションの再生

都心部のいわゆるペンシルビルが抱える問題を解決し、改修のプロトタイプとなるべく、既存建物を再生したプロジェクトである。 当該建物は東側に新設の吹抜を設けており、この吹抜が法規・構造・環境の3役を担うことで、事業性の向上、安全性・快適性の確保を実現している。 法規について、既存建物の共同住宅部分は避難の制約上、1フロア2住戸となっていたが、窓先空地を兼ねた吹抜を建物内に設けることで、1フロア2住戸から3住戸に増やし、事業性の向上を図った。 構造について、吹抜は屋上まで到達させ、各階のスラブ及び周囲の外壁を解体することで建物を軽量化している。また、既存建物の中央にあったRC造の階段や屋上塔屋等、構造計画上不要な躯体を解体することで建物全体の23%の軽量化を実現し、耐震性能向上に寄与している。 環境について、風解析により、吹抜による建物内の換気量向上効果を実証した。主に建物内に中間期の北北西の風を取り込み、居住空間の快適性を向上させると同時に、空調使用を抑えることで、ライニングコストの削減にも貢献している。 (青木茂建築工房担当物件) 2022年度グッドデザイン賞受賞